相続で必要な戸籍について
相続に関する手続きを自分でやるか、専門家に依頼するか悩む方はたくさんいらっしゃいます。
集めないといけない戸籍がどの程度の量になるかが、一つのポイントになります。
必要戸籍
集めないといけない戸籍は、相続関係によって異なります。
必ず集めなければならないのは、① 亡くなった方の出生~死亡までの戸籍、② 相続人の現在戸籍です。
兄弟姉妹が相続人になる場合や、相続人となるべき人で既に亡くなっている方がいる場合などは、さらに集める戸籍の範囲が広がります。
最初のポイントは、「出生から死亡まで」の意味合いです。
戸籍全部事項証明書の読み方
死亡届を提出すると、戸籍に次のような記載がされます。
【死亡日時】令和5年12月17日16時ごろ
【死亡地】京都府京都市北区
【届出日】令和5年12月8日
【届出人】親族 ●●
これとは別に、身分事項欄に次のような記載がされています。
【出生日】平成2年11月20日
【出生地】京都府京都市北区
【届出日】平成2年11月21日
【届出人】父
亡くなった後に、戸籍全部事項証明書を取得すると、上記のような「出生」に関することと「死亡」に関することが記載されていますので、「出生から死亡まで」の戸籍が取得できたと思ってしまいがちです。
発行された戸籍をよく読むと、最初の方に
【改製日】平成20年10月1日
【改製事由】平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改製
という記載があります。
これは、もともと紙媒体で保存されていた戸籍をコンピュータ化したことにより書き直した、という意味です。
改製日以前の記載は、元の紙戸籍を取り寄せないといけない、ということがわかります。
つまり、この戸籍全部事項証明書では、「平成20年10月1日から死亡まで」の戸籍にしかならないわけです。
戸籍をさかのぼっていくということ
次は、平成20年10月1日以前の戸籍を請求しないといけません。
改製による場合は、同じ市区町村に改正原戸籍がありますので、これを請求することになります。
その後は、同じ要領で次々と戸籍をさかのぼっていき、最終的に初めて「出生」が記録された戸籍にたどり着いたら、「出生から死亡まで」の戸籍が集まったことになります。
出生から死亡までの戸籍を集めると、亡くなった方の子供が全て記載されていることになります。内容を精査することで、思いもよらなかった兄弟姉妹が見つかることも少なくありません。
戸籍通数の目安
現在80代の方で婚姻1回の場合、出生までの戸籍をさかのぼると、おおよそ4~6通程度で出生戸籍までたどり着くことができます。
幼少期に転籍(戸籍の引っ越し)があったり、婚姻・離婚が複数回あったり、養子縁組・離縁があったりすると、その分戸籍の通数が増えますので、手間が増えることになります。
広域交付制度
以前は、出生~死亡までの戸籍を取得するために、全国の自治体に対して順次請求する必要がありました。
たとえば、本籍がA市→B市→C市と変遷し、C市で死亡した場合は、C市→B市→A市とさかのぼるといった要領です。
この点に郵送請求の手間やコストがかかり、相続手続きの足かせになっていました。
2024年3月から、戸籍の広域交付制度が始まり、一定の親族間については、全国どこの窓口からでも全国各地の戸籍が取得できるようになっています。
※ 広域交付請求は、代理人や郵送による手続きができない。
司法書士等の専門家に相続相談に行く前に、亡くなった方の戸籍一式を取得されると話がスムーズに進むでしょう。